
【送料無料】 資源・食糧・エネルギーが変える世界 / 後藤康浩 【単行本】
知られざる石油大国・・・カナダ・アルバータ州。
ここでは黒い物質・・・世界が注目するエネルギーが採掘されていました。
それがオイルサンド”石油の砂”です。
その採掘に世界の企業が参入し、競っています。
埋蔵量のオイルサンド地帯は14万㎢日本の国土の1/3です。
オイルサンドは”黒い金”です。まさに、現代のゴールドラッシュに、町も沸いていました。
人口わずか7000人だった町が、今や10万人の好景気に沸いています。
エネルギーの常識を変えると言われるオイルサンド、カナダは、中東・サウジアラビアに次ぐ新たな原油大国となりつつあります。
原油の埋蔵量ベスト3・・・
1999年は・・・
@サウジアラビア
Aイラク
BUAE
でした。
2009年には・・・
@サウジアラビア
Aカナダ
Bイラン
となっています。
1999年には20位だったので、急上昇です。
では、オイルサンドとは???
オイルサンドがとれるのは、アルバータ州北部・・・オーロラでも有名なフォートマクマレー。
緑の残る田舎町です。
オイルサンドの採掘企業の最大手・「シンクルード・カナダ社」に・・・。
採掘現場は森林地帯。
採掘現場では、巨大ダンプ行き交っています。黒い地面を掘り起こし、その土を採掘しているのです。
地層全体を薄く剥ぎ取っていきます。
シンクルード・カナダ社の総敷地面積は、2500㎢、東京23区のおよそ4倍に当たります。
オイルサンドは、肥料のようにコロコロしていて黒い土です。
この中に、石油の成分が入っています。
この砂から、どうやって石油を取り出すの???
オイルサンドをお湯に溶かすと、砂と油が分離します。
それを抽出します。
これをビチューメン(重質重油)と呼びます。ドロドロの油です。
このビチューメンを加工して、ガソリンなどを作ります。
オイルサンドからの原油は、2000年には2億2000万バレルだったのが、2010年には5億3000万バレルになってきています。
しかも、オイルサンド地帯の90%以上が未開発で残っています。
24時間体制で採掘しています。
カナダ以外では取れないの???
オイルサンドは、超重質油と呼ばれる油ですが、砂に交じったオイルサンドという形ではカナダのみです。
しかも、アルバータ州のみなのです。
新しい石油資源は、非在来型石油と呼ばれ、北米カナダのオイルサンドと、南米ベネズエラのオリノコタールがあります。
今では、非在来型石油を合計すると、150年分くらいはあるのでは?と言われています。
しかし、1バレル抽出するのに4トン分のオイルサンドが必要です。
つまり、生産コストが非常に高く、1バレルあたり在来型原油が5=25ドルなのに対し、オイルサンドは50ドル必要です。
利益を出すのは難しかったのですが・・・
現在の原油高騰にあたって、採算がとれるようになってきました。
フォートマクマレー・・・”黒い金”のおかげで月収400万円も夢ではありません。
お金を稼ぎに来た人々で沸いています。
町では重機の学校が流行っています。10週間で100万円しますが、予約でいっぱいです。
おまけに労働者の4割が女性です。
この町には、仕事がたくさんあるので、カナダ中から人が集まってきます。
まさに、現代のゴールドラッシュです。
オイルサンドのおかげで、地価も高騰しています。
住宅は・・・標準的な一軒家で70万ドル(5460万円)します。
10年前の5倍で、大都市よりも高いと言います。
町の郊外には、キャンピングカーがたくさんあります。
キャンピングカーで出稼ぎをする人が増えています。
オイルサンドの恩恵としては・・・
スポーツセンターは格安で利用、消費税がタダ、医療費もタダです。
州にはオイルサンド企業からの収入があるからです。
しかし、オイルサンドにもいいことばかりではありません。
かつてそこは、先住民たちの住処でした。
彼らの多くは、現在オイルサンドの職に就いています。
しかし、オイルサンドは・・・
環境問題があります。
もともと森林の下に埋まっているので、森林を伐採するところから始まります。
さらに・・・オイルサンドを抽出する際に、薬品や油の混じった水をたくさん出してしまいます。
日系企業のJACOS(ジャパン・カナダ・オイルサンズ)では・・・
「サグディー法」でオイルサンド原油を採掘しています。
サグディー法とは???
井戸を掘って、オイルサンドの原油を採掘する方法です。
この方法では、地下300mのオイルサンドでも採掘可能です。
この方法だと、オイルだけを取り出せます。
森林伐採が最小限で済むのです。
そこには、日本企業ならではの技術が使われています。
そして、オイルサンドで汚れた緑を復活させる試みもなされています。
カナダでは、オイルサンド採掘を終えた土地への植林を法律で義務付けてられています。
オイルサンドは、環境との調和が一番重要な課題と言えるでしょう。
カナダの”黒い砂”がアジアを救う???
アメリカは、世界最大のエネルギー消費国です。自分の国で採れる油だけでは足りません。
しかし、カナダから買う・・・もしかすると、今まで中東から輸入していた石油を減らすかもしれません。
中東は、アジアに輸出することになるでしょう。
実際、アメリカの原油中東依存度は、2001年には28%でしたが、2010年には18%になってきています。
86%を中東に依存している日本にとっては、良い状況になってきています。
今、オイルサンドのおかげで世界の原油価格が安定して来ています。
これから・・・下がるかもしれません。
世界では、非在来型のエネルギーが、経済の状況を買える大きなきっかけになってきているのです。
非在来型エネルギーと、日本の電力問題。
原発再稼働をしようと言っている中で・・・
シェールガス・・・
東電は、このシェールガスの購入を検討し始めました。
シェールガスは、こちらとこちら。
これが実現すれば、調達コストが半減し、電気料金が下がる可能性が出てきました。
使用量を減らすことも、エネルギー調達の一つとも言えます。
環境に優しく、大事にエネルギーを調達しなければなりませんね。
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