
武器なき“環境”戦争
去年3月に起きた原子力発電所の事故は、日本の原子力政策に大きな見直しを迫るものとなりました。
原発をこのまま続けていくのか、あるいは脱原発か・・・
いずれを選択しても、遠い未来へと続く大きな課題が残されています。
青森県六ケ所村にその施設はありました。
全国の原発から出た使用済み燃料は、この再処理施設に運ばれ、水の張ったプールに貯蔵されます。
現在2919トン・・・3000トンのプールなので、ほとんど満杯状態です。
追加はほとんど受けられません・・・
ここは一時的な保管場所・・・最終的な廃棄場所は、全く決まっていません。
「トイレなきマンション」
世界の原発を巡って、この問題が起きています。
原発を稼働すれば・・・使用済み核燃料が出てきます。
日本でも、1963年から原発の運転が始まりました。
でも、この時に、いずれ出てくる使用済み核燃料をどう処理するか・・・という技術が出来ていないまま運転を始めてしまいました。
つまり、“今の技術では無理だけれど、人類の英知に期待しよう”ということでした。
“きっと技術ができるに違いない!!”
しかし、いまだに処分がきちっと決まっていません。
だから、「トイレなきマンション」と言われています。
その使用済み燃料は・・・
世界で33.5万トン、日本でも1.7万トンあります。
そして、この放射線が、人体に影響なくなるまでには、10万年かかります。
これをどうやって処理したらいいのか???
いろいろ各国が考えてきました。
かつては広くて大きな海に捨てていましたが、1993年に国際条約で放射性物質を海に投棄するのは禁止されました。
宇宙・・・うまくいけばいいですが、爆発事故があったら・・・拡散して大惨事になってしまう!!!
だから・・・地下に。。。
答えを出した国は、日本と同じぐらいの国土面積のフィンランド。
国土の8割が森林におおわれ、湖は18万を数える自然の宝庫です。
首都はヘルシンキ。
人口540万人のフィンランドでは、電力の1/4が原子力で賄われています。
福島の事故の後も、原子力発電所の建設が進められています。
原発を推進しているフィンランドでは。。。大きな決断がなされていました。
オンカロ=“隠し場所”と名付けられた世界初の使用済み核燃料廃棄場所です。
首都ヘルシンキから250qにあるバルト海沿岸のオルキルオト。
このオルキルオトには、フィンランド最大の原子力発電所があります。
そこにあるオンカロ=“隠し場所”には・・・
トンネルを通って地下深く降りること420m・・・。
どうしてここなのか?
その理由は、19億年変わらない岩盤。地震が頻繁にある日本とは違って強固な岩盤なのです。
そして、その地下では最終処分用のトンネルを掘るための調査が行われ、岩盤の内部が核廃棄物を埋めることができるのか・・・調べられていました。
“核のゴミ捨て場”には、使用済み核燃料を入れた容器を最終的にうめる場所がありました。
使用済み核燃料は、長い年月高い放射線を出し続けます。
これを分厚い鉄の容器に入れます。
さらに腐食しにくい銅の容器に・・・
この核のゴミは、ロボットや無人の重機を使って遠隔操作で運ばれ、埋められます。
ここに収容できる核のゴミは、2800本、8年後から処分を開始し、120年分の使用済み核燃料を埋めることが出来ます。
そして、2100年以降に埋戻し、オンカロを埋めなおします。
このゴミは・・・10万年・・・100万年埋めておかなければなりません。
確かに放射性物質が漏れ出す可能性は否定できません。
しかし、鉄と銅の容器、さらに岩盤が自然のバリアとなって深さ400mから地上まで、達することはないでしょう。。。
そのためにも、出来るだけ調査をしています。
ということでした。
人類の物差しを越えた長い時間です・・・
現代の最新技術を使って掘っていますが、使用済み核燃料を保存するのはこれから10万年あるいは100万年先です。そこまではたして安全に保存することが出来るのでしょうか???
気が遠くなるような作業が行われています。
オンカロからわずか10qのところに町があります。
人口6000人ほどの小さな町、ユーラヨキです。
住民たちは・・・多くは原発関係の仕事についています。
あまり心配はしていないようです。
2000年に町議会で、オンカロの受け入れを決定しました。
オンカロを受け入れたことで得られる経済効果は、ほとんどないと言っていいそうです。
恩恵はすべて、原子力発電所によるものです。
オンカロに対しては、経済効果ではなく、町として最後の責任を取るという意味合いが大きいのです。
町は原子力で恩恵を得ています。それで利益を得たなら、最後まで責任を持つ。という考え方があるようです。
誰かが引き受けなければならない・・・
10万年後の未来に、どのようにして伝えるのでしょうか?
人を近づけないために、どのようにしたらいいのか・・・それは難しい問題です。
もう、人間はいないかもしれないから・・・
10万年前、地球には・・・ネアンデルタール人がいました。
10万年先にはどうなっているのでしょう?
もう、言葉を使っていないかもしれません・・・。
「ムンクの叫び」にしたらどうか・・・という案まであります。
日本の最終処分場は???
現在公募中で、
2013年候補地選定へ
2028年建設地を決定へ
となっています。
最近のニュースでは、栃木県矢板市の国有林って話も出てきましたが・・・
どうでしょう???
フランスでは・・・原子力発電所は58基、電力の約8割を占めています。
フランスには、世界最大の原子力企業があります。
アレバです。
福島の事故後、世界で原発の建設が中止され、大きな赤字を計上しています。
しかし、現在では、黒字に戻っているそうです。
使用済み核燃料は・・・
最終的な核廃棄物を閉じ込めるカプセルに変えました。
使用済み核燃料を処理した後の液体を、ガラスで固めたもの(ガラス固化体・キャニスター)で、廃棄物の量は、非常に少なくなります。
これは、日本も使っています。
フランス、ラ・アーグにある再処理工場では・・・
高温で溶かし圧縮し、小さなカプセルにして、やはり地中500mに埋められることになります。
フランスでは、2025年から最終処分場建設を開始する予定です。
青森県六ケ所村では・・・
使用済み燃料の再処理工場があります。
建設費2兆2000億円です。
未だに試験運転の状態です。
フランスで再処理されたカプセルが、すでに1400本ありました。
六ケ所村の再処理工場が止まっているので、ここにはフランス・イギリスで再処理された放射性廃棄物が埋まっているのです。
これも、最終処分場に送られるのですが・・・
今はまだ決まっていません。
再処理工場も止まったまま、最終処分場も決まっていない・・・
それが、日本の現状です。
今、政府にはいくつかの案が出ています。
2030年をめどに脱原発・15%・20〜25%、この3つの案が出ています。
再処理を凍結・縮小・継続にするか。
再処理方法も、直接埋める・併用する・再処理するか・・・
コストの面と照らし合わせて考えている途中です。
もっと処理について考えていくべきなのでは・・・そのための研究が必要です。
“オメガ計画”これは、1988年に原子力委員会が策定したもので放射性物質の寿命を短縮する計画です。
しかし、この研究者は数名しかいない状態ですが、世界中が直面している大きな問題です。
福島の原発事故以降、原子力に未来はないと、若い人が原子力工学などを志望しなくなってきています。
新しい技術によって世界に貢献していく必要がありそうです。
なんだかとっても難しい問題です。
国会も、閉幕なんかしてないで・・・
権力闘争してないで・・・
前に進んで考えてほしいものです・・


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