
ロシア連邦がよ〜くわかる本 ポケット図解 歴史、政治、経済、社会の実態が見える!
3月下旬、東京湾に巨大なタンカーが。。。ここには、天然ガスが入っています。
ちょうど1年前、同じような光景がありました。
当時震災で、電力不足にあえいでいた日本の為に、ロシアが天然ガス・6万5000tを運んでくれました。しかも無償で。
それを送り込んだ男は、当時の首相・プーチン。
「日本が困難を迎えている今、私たちは求められればさらに支援を行う。」
![天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学 [単行本(ソフトカバー)] / 石井 彰 (著); 日経BP社 (刊) 天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学 [単行本(ソフトカバー)] / 石井 彰 (著); 日経BP社 (刊)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/519dScW0NqL._SL160_.jpg)
天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学 [単行本(ソフトカバー)] / 石井 彰 (...
日本は天然ガスを96.2%輸入しています。その総輸入量7000t。
この天然ガスは、都市ガスや火力発電に使われています。
一方ロシアは、天然ガスの埋蔵量世界一の資源大国です。
ロシアの果てしない大地に眠る天然ガス。
それを独占する超巨大企業「ガスプロム」。
社員数・約30万人。株式時価総額15兆円にも上るモンスターです。
そこでは・・・。
世界中に張り巡らされたガスのパイプラインが張り巡らされています。
世界中の国は、ロシアの天然ガスがないとやっていけない状況になってきています。
その裏にいたのも、プーチンでした。
目の前に黒海が広がるソチ。ロシア一のリゾート地です。
冬はウインタースポーツが大人気。
ここで、2014年にオリンピックが行われます。
建設ラッシュに沸いて、工事中、10万人を超える作業員を抱え、バブっています。
作業員は国内からだけではなく、ウズベキスタン、カザフスタンからも来ています。
賃金は、1か月6万円。地元で働く3倍にもなります。
この総工費は2兆円。
その出所は・・・シベリアにあるトムスクに。
そこには巨大な天然ガスの施設が。。。これがロシアの富の源なのです。
天然ガスの採掘現場では・・・。
地下2600mの所にある天然ガスを採掘、その量は毎日7tです。
この天然ガスが埋蔵する地域のことをガス田といい、これがロシアの至る所に存在します。
天然ガスは、パイプラインを通って気体のまま各地に輸送されます。
これを独占する企業が、国営企業の「ガスプロム」。
石油より天然ガスの方が埋蔵量は多く、ずっと将来性のあるエネルギーだとのことでした。
ロシアのエネルギー戦略の全貌とは。。。
国内に無数にあるガス田。
ここから採掘される天然ガスは、パイプラインを通って国内に供給される。
それ以外にも、パイプラインはヨーロッパや北アフリカにまで伸びていました。
イタリアでは、シチリア島にまでパイプラインが繋がっています。
もう、ロシアの天然ガスなしにはヨーロッパの経済は成り立たないのです。
その天然ガスの力をうまく利用したのが、今年大統領に返り咲く「プーチン」。
プーチンは2000年の大統領就任以来、天然資源を利用して国を拡大しました。時には、外交の切り札として利用しました。
例えば2006年、ガスの値上げに応じなかったウクライナに対して供給を停止したこともありました。
つまり、天然ガス企業「ガスプロム」は、プーチンと共にあると言っても過言ではないのです。
国としては。
ロシアの石油・天然ガス関連税収は47.3%を占めています。
そして、ロシアの経済成長は、原油価格・天然ガス価格と一致しています。
つまり、ロシア経済は原油・天然ガスに大きく左右されているということなのです。
では、それを利用したプーチンとはどんな人物?
身長168p、年齢59歳、お酒は飲みません。
経歴は、元KGB、尊敬する人物は柔道家山下泰弘さんです。
非常にストイックなハードワーカーです。
その他にも闇のビジネスがあります。
モスクワでは大規模なデモがありました。
その矛先は、プーチンです。
石油や天然ガスに依存した政権を批判したものでした。
ロシアでは、天然資源に依存しないビジネスも出てきました。
その一つが、「ヤンデックス」。
ロシアでは誰もが知るIT企業、ロシアではグーグルを抑えてNo,1のシェアを誇ります。
社員は3,500人。平均年齢28歳、平均月収25万円。これは、結構高いものです。
今のロシアに必要なのは、天然資源ではなく新しいビジネスと考えています。
つまり、資源に頼らない企業です。
昔からロシアは昔から数学や化学などが得意分野です。
しかし、このような企業で働けるのは一握りです。
で、そんな企業で働けない若者は・・・
ハッカー。
このハッカーの正体とは?
世界のクレジットカードの情報や、預金情報が売買されています。
クレジットカードの番号は、一件2$から5$。
8万$の入った口座の情報は、60$で売るとあります。
ロシアでは、ネットに全く規制がないから、クレジットカードの情報も、簡単に手に入るのです。
それを悪用すれば、大金を稼ぐことが出来ます。
ロシアでは、コンピューターを使う能力のある人間はたくさんいるのに、生かす仕事がないのです。
コンピューター犯罪は、重罪です。
しかし、ハッカーの専門誌「ハッカー」は、月に30万部も売れるそうです。
あらゆる犯罪の情報が書かれています。
そんな中、新しいハッカーが出現しました。
社員みんながハッカーという会社です。
裏でハッカーをさせている会社が沢山あります。
それは、ロシアの経済が、大きく資源に依存しているということ。
そして、IT企業とか、先進国で大きな雇用を生んでいる部分の成長がそれほどではないということが理由です。就職しきれていないのです。
そして、こういう人たちは、欧米の方へどんどん流れているのです。
ロシアにとっても大きな人的財産の損失になっています。
「良くも悪くも天然ガスの国」なのです。
かつて樺太と呼ばれたサハリン。北海道から目と鼻の先。
サハリンは、67年前までは南半分が日本の領土でした。
その南端、ユジノサハリンスク。人口15万人を超えるサハリン最大の都市です。
昔は豊原と呼ばれていました。
日本時代に建てられた建造物も残っています。
町の市場では、そこでは近海で取れる魚が所狭しと並んでいます。
いくらの塩漬け、花咲ガニ。。。
大型ショッピングモールではフードコート、ゲームセンターなどがあります。
20年前の日本のようです。
子供たちの1日のお小遣いは、3000円ぐらい?!
サハリンの人々の暮らしは、とても豊かになっています。
石油や天然ガスが出るようになってから。
このサハリンの天然ガスは、日本に送られています。
サハリン南端のプリゴロドノエ。
何もない海辺に巨大な施設があります。
それは「ガスプロム×日本企業」の施設です。
この巨大施設は、わざわざ日本に天然ガスを送るために造られたものです。
20年前に作り始め、2009年に完成しました。
ここは、天然ガスを気体から液体に変化させるロシア唯一の施設です。
気体を−162℃で凍らせると液体になり、液体になると気体の体積の600分の1となります。
ここで液体にすることで、タンカーに乗せて簡単に運べるのです。
そして、3日ほどで日本に到着します。
日本の市場を狙っての施設なのです。
日本にとっても、原子力発電所がどれだけ再稼働していくか?不透明な状況下で、代替のエネルギーとしての天然ガスの重要性は、上がってきています。
そのことも、ロシアはよく知っているのです。
そして、「プーチンの今がチャンス」。
日本もよく知っていて、エネルギー問題にも精通しているプーチンが、大統領に返り咲くいま、日本がどのような関係を築けるのかがポイントです。
今までは、ロシアの天然ガスは、ヨーロッパを向いていました。
しかし、中東のカタール。ここは、世界第3位の天然ガスの輸出国ですが、アジアやアメリカにも輸出しようと設備を拡大していました。
ところが、アメリカでは、シェールガスという天然ガスを生産できるようになり、その埋蔵量は40年分。つまり、アメリカ市場はなくなって、カタールの天然ガスが安値でヨーロッパに輸出されるようになったのです。
ロシアとしては困ってしまい、アジア市場に向いてきたのです。
北米のガスも、日本に入ってくる可能性があります。
この2つを天秤にかけながら、戦略を立ててガスの価格交渉をやっていく必要があります。
”Win Win”の関係が出来ればいいですね。
でも、やっぱり資源があるってうらやましいですね。

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